IVF(体外受精)のよくある誤解と実際:治療を始める前に依頼者が知っておきたいこと

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ご存じですか? 毎年7月25日は「世界IVFデー(World IVF Day)」で、生殖医療における重要な節目の一つを記念する日なのです。

1978年7月25日、世界で初めて体外受精(IVF)によって誕生したルイーズ・ブラウンが生まれました。

今年の世界IVFデーは過ぎましたが、不妊治療に関する正しい知識を広めることは、一年を通して大切なことです。IVFは、不妊に悩む方々をはじめ、LGBTQIA+カップル、選択的シングルペアレント、卵子提供・精子提供を利用する方、そして妊娠・出産を担う代理母による家族づくりを希望する依頼者など、多くの人々に新たな家族形成の可能性をもたらしてきました。

IVFは広く利用されている一方で、今なおさまざまな誤解があります。IVFでできること、そしてできないことを正しく理解することで、依頼者は治療に向けて準備を整え、必要な質問を医療専門家に確認し、より現実的な見通しを持って家族形成に臨むことができます。

ここでは、IVFについてよくある誤解と、それに対する事実を分かりやすくご紹介します。

IVFとは?

体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)は、生殖補助医療(ART)の一つで、卵巣から卵子を採取し、体外の培養環境で精子と受精させる治療です。受精によってできた胚は、その後の発育を観察しながら培養され、最終的に依頼者本人の子宮、または妊娠・出産を担う代理母の子宮に移植されます。

依頼者の状況に応じて、IVFでは以下のような選択肢が考えられます。

  • 依頼者自身の卵子
  • 提供卵子
  • 依頼者自身の精子
  • 提供精子
  • 以前に凍結保存した卵子または胚
  • 着床前遺伝学的検査(PGT)
  • 代理母への移植

具体的な治療の流れや推奨される治療計画は、一人ひとりの既往歴や身体的状況、また不妊治療クリニックによる診察・評価によっても異なります。

誤解1:IVFは必ず1回目で成功する

実際:複数回のIVF治療や胚移植が必要になる依頼者もいます。

IVFはこれまで多くの人々の家族づくりを支えてきましたが、妊娠や出産を保証するものではありません。採取した卵子がすべて成熟しているとは限らず、成熟した卵子がすべて受精するわけでもありません。また、受精した卵子がすべて胚へと発育し、移植に適した状態になるとも限りません。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、生殖補助医療(ART)の成功率は、年齢、不妊の原因、過去の妊娠歴、実施する治療方法など、さまざまな要因によって異なります。国全体や特定のクリニックの統計データから、個々の患者にどのような結果が生じるかを正確に予測することはできません。

1回目の胚移植で妊娠に至る人もいれば、追加の採卵や胚移植、治療計画の変更が必要になる人もいます。

依頼者は、生殖内分泌専門医に、自身の年齢や治療歴、医学的状況などを踏まえた場合の成功率について、具体的に説明してもらうことが大切です。

誤解2:IVFは不妊に悩むカップルだけのもの

実際:IVFは、さまざまな家族形成の選択肢を支えています。

IVFは不妊症の治療として広く利用されていますが、妊娠を希望しているにもかかわらず妊娠できない異性カップルだけを対象としたものではありません。

IVFは、以下のようなさまざまな家族形成の場面で利用されています。

  • LGBTQIA+の依頼者
  • 自らの意思でシングルペアレントとして子どもを持つことを希望する方
  • 卵子提供や精子提供を利用する方
  • 特定の遺伝性疾患が子どもに受け継がれる可能性がある方
  • 医療処置を受ける前に妊孕性を温存したい方
  • 代理母による家族形成を希望する依頼者
  • 過去に卵子や胚を凍結保存している方

一部の家族にとって、IVFは家族形成に向けたより大きなプロセスの一部であり、その中には卵子提供、精子提供、胚の遺伝学的検査、代理母による代理出産などが含まれる場合があります。

誤解3:IVFでは必ず双子や多胎になる

実際:IVFを行ったからといって、必ず多胎妊娠になるわけではありません。

IVFでは必ず双子になるという誤解は、複数の胚を一度に移植することが現在よりも一般的だった、過去の治療方法に関連していることが多いと考えられます。

現在では、医学的に適切と判断される場合、1個の胚を移植する「単一胚移植(Single Embryo Transfer)」が推奨されます。米国生殖医学会(ASRM)は、多胎妊娠では妊娠する方と赤ちゃんの双方に健康上のリスクが高まる可能性があるため、多くのケースにおいて単一胚移植が望ましい治療方針であるとしています。

移植する胚の数は、胚の発育状況、これまでの生殖歴、年齢、個々の健康状態などを考慮し、担当する生殖医療専門医が医学的に判断する必要があります。

誤解4:移植する胚の数が多いほど、成功率が高くなる

実際:胚の数を増やすことが、必ずしもより安全で良好な結果につながるわけではありません。

複数の胚を移植すれば、妊娠する可能性が高まるように思えるかもしれません。しかし、その一方で、双胎やそれ以上の多胎妊娠となる可能性も高くなります。

多胎妊娠では、早産、低出生体重、妊娠に伴う合併症などのリスクが高まる可能性があります。そのため、生殖医療専門医は、移植する胚の数について慎重に検討します。

依頼者が代理母による代理出産を希望する場合も、IVFを担当する医師が医学的な状況を総合的に評価し、適切な胚移植方法を判断します。

ACRC Globalは、医学的根拠に基づいた治療方針の決定を重視しており、依頼者には、資格を有する生殖医療専門医の指示・助言に従うことを推奨しています。

誤解5:IVFなら健康な妊娠・出産が保証される

実際:IVFによって、すべての妊娠リスクや健康上のリスクをなくせるわけではありません。

IVFは受精や胚移植をサポートする治療ですが、胚の着床、妊娠経過が順調に進むこと、また健康な赤ちゃんが生まれることを保証するものではありません。

IVFによって成立した妊娠であっても、適切な妊婦健診や医療的なモニタリングが必要です。妊娠を担う方の健康状態、胚に関する要因、妊娠中に生じるさまざまな状況などが、妊娠・出産の経過に影響を及ぼす可能性があります。

依頼者は、想定されるリスク、必要なモニタリング、治療の選択肢について、担当する不妊治療クリニックやその他の適切な資格を有する医療専門家に直接相談することが大切です。

誤解6:遺伝学的検査をすれば健康な赤ちゃんが保証される

実際:胚の遺伝学的検査によって特定の情報を得ることはできますが、限界があります。

着床前遺伝学的検査(PGT:Preimplantation Genetic Testing)とは、IVFによって作成された胚に対して行われる、複数の種類の遺伝学的検査の総称です。

状況に応じて、以下のような項目を調べるために検査が行われることがあります。

  • 特定の染色体異常
  • 家族内で確認されている特定の遺伝性疾患
  • 特定の染色体構造異常

ただし、遺伝学的検査ですべての疾患や遺伝的な状態を検出できるわけではなく、子どもの健康状態のあらゆる側面を予測したり、妊娠の成功を保証したりすることもできません。

また、すべての患者に同じ種類の検査が必要であったり、有益であったりするわけではありません。依頼者は、生殖内分泌専門医に相談し、必要に応じて遺伝カウンセラーにも相談することで、検査によって何が分かるのか、その限界は何か、そして自分たちの家族にとって検査が適切かどうかを理解することが大切です。

誤解7:IVFの治療方法はすべての患者で同じ

実際:IVFの治療は、一人ひとりの状況に合わせて行われます。

すべての人に当てはまる、唯一のIVF治療プロトコルがあるわけではありません。治療内容は、以下のような要因によって異なる場合があります。

  • 年齢や既往歴
  • 卵巣予備能
  • 精子に関する要因
  • 過去の不妊治療歴
  • 提供卵子や提供精子の使用
  • 既知の遺伝的要因
  • 利用可能な胚の数や発育状況
  • 代理母が妊娠を担うかどうか

また、使用する薬剤のプロトコル、必要な検査、治療スケジュール、胚移植に関する推奨事項なども、患者やクリニックによって異なることがあります。

そのため、依頼者はインターネット上で他の人の治療経験と自分の治療計画を安易に比較しないことが大切です。ある患者に推奨された治療が、別の患者にとっても適切であるとは限りません。

誤解8:すべてのIVFクリニックの成功率やサービスは同じ

実際:クリニックによって、経験、提供するサービス、診療する患者層などが異なります。

不妊治療クリニックは、提供している治療、培養室の設備や技術、診療している患者の人数や種類、卵子提供や精子提供を利用した生殖医療や代理母による代理出産に関する経験などが、それぞれ異なる場合があります。

また、治療の成功率についても、慎重に読み取る必要があります。高年齢の患者や、より複雑な医学的状況にある患者を多く診療しているクリニックでは、別な患者層を対象としているクリニックとは、統計上の成功率が異なる場合があります。

IVFクリニックを比較する際には、依頼者は以下のような点を確認するとよいでしょう。

  • 自分たちが希望する家族形成に関する治療経験
  • クリニックで受けられるサービス
  • 培養室で行われる処置や管理基準
  • コミュニケーション体制や多言語サポート
  • 卵子ドナーや精子ドナー、代理母との連携経験
  • 費用や治療の選択肢について、どの程度明確に説明されているか
  • クリニックが成功率をどのように提示・算出しているか

米国疾病予防管理センター(CDC)は、クリニックごとの生殖補助医療(ART)に関するデータを公表しています。ただし、依頼者は、それらの数値が自分自身の状況においてどのような意味を持つのかについて、資格を有する生殖医療専門医に相談することが大切です。

誤解9:IVFと代理出産は同じプロセスである

実際:IVFは医療行為であり、代理出産はより広範な家族形成のプロセスです。

IVFと代理出産は密接に関係していますが、同じ意味で使われる言葉ではありません。

IVFは、胚を作成するために行われる医療的なプロセスです。一方、妊娠・出産を担う代理母による代理出産では、胚を代理母の子宮に移植し、依頼者のために妊娠・出産を行ってもらいます。代理母は自身の卵子を使用しないため、生まれる子どもとの間に遺伝的なつながりはありません。

代理出産のプロセス全体には、一般的にIVF以外にもさまざまな段階が含まれます。

  • 代理母候補者の募集・スクリーニング
  • 依頼者と代理母のマッチング
  • 心理評価
  • 独立した弁護士による法的サポート
  • 代理出産契約の締結
  • 保険およびエスクローの調整
  • メディカル・クリアランス
  • 胚移植
  • 妊娠中のサポートおよびケースマネジメント
  • 親子関係の確定および新生児に関する各種書類の手続き

経験豊富な代理出産エージェンシーは、こうしたさまざまな関係者や各段階を連携・調整します。一方、それぞれの専門分野における判断については、資格を有する医療・法律の専門家が責任を担います。

誤解10:代理出産エージェンシーがIVFの医療上の判断を行う

実際:IVFに関する医療上の判断は、不妊治療クリニックや資格を有する医療専門家が行います。

代理出産エージェンシーは、依頼者が不妊治療を受けるための医療機関やサービスを探す際のサポート、医療記録の整理、診察や各種予約の調整、また代理出産のプロセスに関わる各専門家とのコミュニケーションなどを行います。

しかし、医学的な適応の判断、必要な検査、治療プロトコル、胚移植に関する推奨などを決定するのは、不妊治療を担当する医師およびIVFクリニックです。

ACRC Globalでは、依頼者が代理出産のプロセス全体をスムーズに進められるようサポートし、各段階や関係する専門家との連携・調整を行っています。

私たちは、不妊治療専門医による医学的な助言や臨床上の判断に代わるものではありません。

代理出産でIVFが必要になるのはどのような場合?

妊娠・出産を担う代理母による代理出産では、代理母の子宮に胚を移植する前に胚を作成する必要があるため、IVFが必要となります。

依頼者が代理母による代理出産を検討する理由はさまざまで、例えば以下のようなケースがあります。

  • 自身で妊娠・出産を安全に行うことができない場合
  • 子宮がない場合
  • 特定の疾患や妊娠に伴うリスクがある場合
  • 不妊治療を繰り返しても妊娠に至らなかった場合
  • 過去の妊娠で合併症などが生じた場合
  • 男性同士のカップルが家族づくりを希望する場合
  • 一部のシングルの依頼者が家族づくりを希望する場合
  • その他、資格を有する医療専門家によって代理出産が適切と判断された場合

代理出産を選択するかどうかは、一人ひとりの状況に応じた個人的な決断であり、医学的、法的、経済的、心理的なさまざまな側面を考慮する必要があります。

経験豊富な代理出産エージェンシーに相談することで、代理出産のプロセス全体が自分たちの状況にどのように適用されるのかを理解するためのサポートを受けることができます。

IVFを始める前に確認しておきたいこと

治療を始める前に、不妊治療クリニックに以下のような質問をしてみましょう。

  • 治療を開始する前に、どのような検査を受けることを推奨しますか?
  • 私たちの場合、成功する可能性に影響する要因にはどのようなものがありますか?
  • IVFの成功率は、どのように定義・算出され、どのように提示されていますか?
  • 治療を何周期程度受けることを想定すべきでしょうか?
  • 移植する胚の数は何個が推奨されますか?また、その理由を教えてください。
  • 私たちの家族にとって、遺伝カウンセリングは有用でしょうか?
  • 私たちの状況では、着床前遺伝学的検査(PGT)は必要でしょうか?
  • 推奨される検査には、どのような限界がありますか?
  • 治療費の見積もりには、どのような費用が含まれていますか?
  • 卵子ドナー、精子ドナーや代理母との連携経験はありますか?
  • 胚移植がうまくいかなかった場合、次にどのような対応を行いますか?
  • 治療中に質問や不明点が生じた場合、誰に連絡すればよいですか?

こうした質問について明確な説明を受けることで、依頼者は自分たちにどのような選択肢があるのかを理解し、医療チームと相談しながら十分な情報に基づいて治療について判断することができます。

IVFと代理出産を検討する依頼者をACRC Globalがサポート

IVF治療では、もともとさまざまな医学的な判断や手続きが必要となります。さらに卵子提供や精子提供、代理母による代理出産を組み合わせる場合、依頼者は、卵子ドナー、精子ドナー、代理母、不妊治療クリニック、弁護士、保険の専門家、エスクローサービス提供者、ケースマネージャーなど、多くの関係者との連携や調整が必要になることがあります。

ACRC Globalは、11年以上にわたり、1,300組を超える家族づくりをサポートしてきました。米国をはじめ世界各国の依頼者に向けて、代理出産、卵子提供、精子提供、不妊治療に関するコーディネーションを、一人ひとりの状況に合わせて提供しています。

多言語対応のチームが、以下のようなさまざまなプロセスの調整をサポートします。

  • 代理母、卵子ドナー、精子ドナーとのマッチング
  • スクリーニングおよびメディカル・クリアランスの各段階
  • 不妊治療クリニックとのコミュニケーション
  • 独立した弁護士による法的手続き
  • 保険およびエスクローの手配
  • 胚移植に向けた準備
  • 妊娠中の各種の節目への対応
  • 出産に向けた準備および新生児に関する書類手続き
  • 国際的な家族形成に伴う各種手配

医学的な判断は資格を有する医療専門家が行い、法的なアドバイスは独立した資格を有する弁護士が提供します。

ACRC Globalは、代理出産や家族形成に関わるさまざまなプロセスをつなぎ、依頼者が全体の流れをより明確に理解し、必要なサポートを受けながら進められるようサポートしています。

世界IVFデーのその先へ

世界IVFデーは、家族形成の可能性を広げてきた生殖医療の科学的な進歩に目を向ける、良い機会です。同時に、依頼者が一年を通して、明確で責任ある、現実的な情報を得られることの大切さを改めて認識する機会でもあります。

IVFは成功を保証するものではなく、不妊治療の道のりも一人ひとり異なります。しかし、治療のプロセスを正しく理解し、誤解と実際を区別し、経験豊富な専門家と連携することで、依頼者は今後どのような選択肢があるのかを理解し、自分たちに合った選択をするための判断材料を得ることができます。

卵子提供や精子提供、代理母による代理出産を組み合わせたIVFを検討している方は、ACRC Globalが治療や代理出産のプロセスを理解し、ご家族にとって利用可能な選択肢を検討するためのサポートをいたします。

ACRC Global/MARGの無料カウンセリングを予約する

動画:ある母親のIVF体験

IVFの経験は、一人ひとり異なります。医学的な治療の流れを理解することに加え、実際にIVFを経験した方の話を聞くことで、治療の過程で生じる可能性のある感情面での経験や意思決定、さまざまな困難について、より具体的に知ることができます。

ACRC GlobalのYouTubeチャンネルでは、ある母親に自身のIVF経験について語ってもらいました。

YouTubeでIVFの体験談をすべて見る(英語版)

注意)この動画は、ある一人の女性の個人的な体験を紹介するものです。IVFの治療内容や結果は一人ひとり異なるため、個人の体験談を医療上のアドバイスや、他の方の治療結果を予測するものとして受け取らないでください。

免責事項
本記事は、一般的な情報提供および教育を目的としたものであり、医療、遺伝、法律、その他の専門的なアドバイスを提供するものではありません。また、資格を有する専門家による助言に代わるものとして利用されるべきものではありません。
IVF治療、遺伝学的検査、代理出産に関する推奨事項は、一人ひとりの状況によって異なります。家族形成に関する判断を行う前に、資格を有する生殖医療専門医、遺伝カウンセラー、生殖医療・家族形成に関する法律を専門とする弁護士にご相談ください。
ACRC Globalは、医療、遺伝、法律に関するアドバイスを提供するものではありません。

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