代理出産・生殖医療ケア:医師の視点から見る依頼者のためのガイド
― ウェビナー開催レポート ―
要約
IVF、PGT、そして代理出産を検討している依頼者にとって、今回のウェビナーは
「何から始めればよいのか?」という最も大きな疑問に答える内容です。
胚の作成プロセスから、クリニック選び、代理母のスクリーニング、全体のタイムライン、そして成功のための重要なポイントまで、代理出産の全体像をわかりやすく解説しました。
🎥 詳しい解説や実際のケースを知りたい方へ
ウェビナー全編(英語)はこちらからご覧いただけます:👉 YouTubeで視聴
登壇者
Christina(クリスティーナ)ACRC Global インテークマネージャー
代理母および依頼者と密に連携し、マッチングからプロセス全体のサポートを担当。
Dr. Conway(コンウェイ医師)Utah Fertility Center(UFC)所属
生殖内分泌・不妊治療専門医(米国専門医資格保有)
妊孕性温存、LGBTQIA+の家族形成、第三者生殖医療(代理出産・ドナー治療)を含む、包括的な生殖医療を専門とする。
このウェビナーはこんな方におすすめです
・これから代理出産を検討・開始される個人・カップル
・卵子ドナー/精子ドナーの有無にかかわらず、IVF(体外受精)を検討中の依頼者
・PGT(着床前遺伝子検査)や胚移植の判断基準について理解を深めたいご家族
ひと目でわかるポイント
まずどうする?
第三者生殖医療に精通した、信頼できるエージェンシーと実績あるクリニックの選び方
IVFの基礎
卵子採取から受精、胚盤胞(Day5〜6)へと成長するまでのプロセス
全体のタイムライン
IVF前検査 → 排卵誘発(約10〜12日)→ 採卵 → 胚培養(Day5〜6)→(必要に応じて)PGT → 凍結保存 → 移植準備
※法的手続き・各種承認完了後、移植は約3〜4週間後が目安
単一胚移植(SET)
現在、多くのクリニックがSETを推奨する理由と、双胎妊娠リスクへの対応
PGTの基礎知識
着床前遺伝子検査でわかること/わからないこと
ドナーの選択肢
精子バンクとエージェンシーの違い/卵子ドナー選定のポイントと期待される採卵数
代理母のスクリーニング
医学的評価、子宮検査、感染症検査、包括的な心理評価
依頼者とのコミュニケーション
国内・海外の依頼者に対し、各ステップでクリニックがどのように情報共有・連携するか
代理出産におけるIVFの流れ(ステップごとに解説)
1.IVF前検査(数週間)
卵巣予備能の評価(AFC:胞状卵胞数、ホルモン検査)や、感染症検査を行います。
2.排卵誘発・モニタリング(約10日間)
個々の状況に合わせた注射により、複数の卵胞を育てます。
3.採卵(鎮静下・約20分)
卵子を採取します。その後の工程はすべてラボで行われます。
4.受精・培養(5~6日)
胚を胚盤胞まで育て、必要に応じて凍結し、長期保存が可能です。
5.着床前遺伝子検査(PGT:任意)
凍結前に、胚の外側(栄養外胚葉)から数個の細胞を採取し、染色体検査を行います。
6.胚の保管
適切な環境下で凍結保存された胚は、長期間にわたり良好な状態を保つことができます。
7.胚移植準備(約3~4週間)
法的手続きの完了と代理母の医学的承認後、代理母は比較的シンプルなホルモン治療を開始します。通院回数も少なく、多くの場合は自宅近くで対応可能です。
ワンポイント
多くの代理母は、排卵誘発やホルモン管理などの経過観察を居住州の医療機関で行い、
クリニックへの渡航は医学的最終承認(メディカルクリアランス)と胚移植のタイミングのみとなるケースが一般的です。
多くのご家族が単一胚移植(SET)を選ぶ理由
培養技術や胚凍結技術の進歩により、単一胚移植(SET)の成功率は、かつて主流だった2個胚移植とほぼ同等の水準まで高まっています。
その一方で、双胎妊娠のリスクを大幅に低減できる点が大きなメリットです。
なお、SETであってもごくまれに一卵性双胎となる可能性はありますが、
治療の基本的な考え方は、「一度に一つの健康な妊娠を目指すこと」にあります。
PGTをわかりやすく説明
着床前遺伝子検査(PGT)とは、胚を移植する前に、染色体の数に異常(異数性)がないかを調べる検査です。
流産のリスクを下げたり、移植する胚を選ぶ際の参考情報として役立つ場合があります。特に、次のようなケースで検討されることが多い検査です。
・代理母への胚移植を行う場合
・卵子提供者の年齢が37~38歳以上の場合
・流産を繰り返した既往がある場合
PGTは多くの有益な情報を提供してくれますが、結果が100%確定的というわけではありません。
また、若年層における出生率(ライブバース率)への影響については、現在も医学的な議論が続いている分野です。
それでも、移植計画を立てるうえで、胚の染色体情報や性別情報を含む追加の判断材料が得られる点を評価し、PGTを選択されるご家族は少なくありません。
ドナーの選択肢:精子ドナーと卵子ドナー
精子ドナー
精子は通常、FDA(米国食品医薬品局)の基準を満たした精子バンクから提供されます。
1本のバイアルあたりの精子数が多いため、IVFでは1バイアルで十分なケースが一般的です。
卵子ドナー
卵子ドナーは、通常のIVF患者と同様に、排卵誘発と採卵を受けます。
その結果、1回の採卵で20~30個前後の卵子が得られることも珍しくありません。
依頼者は、エージェンシーのプログラムを通じて、学歴、興味・関心、外見的特徴など、ご自身が重視する条件からドナーを探すことができます。
代理母のスクリーニング方法
安全性と適性を確保するため、代理母には医学的・心理的に非常に慎重な評価が行われます。
書類審査・基本条件の確認
過去に健康な妊娠・出産歴があること、BMIや年齢がガイドライン内であること、全身の健康状態、心理的な安定性などを確認します。
クリニックでの診察
詳細な既往歴と身体診察、各種血液検査、感染症検査を行います。
子宮検査(子宮内評価)
生理食塩水を用いた子宮内超音波検査(ソノヒステログラフィー)により、
胚移植に適した子宮内腔や内膜の状態を確認します。
心理評価
代理母としての準備状況、期待値、家族や周囲のサポート体制などを含めた、包括的な心理評価を実施します。
依頼者として、常にプロセスに関わるために
胚の作成から胚移植、そして妊娠初期に至るまで、
クリニックは依頼者が希望する連絡手段(メール、電話、テキストメッセージ、国際対応のメッセージアプリなど)を通じて、こまめに進捗を共有します。
また、複数の地域・言語に対応した現地担当者がサポートする場合が多いため、距離や言語の壁を感じにくいのも特徴です。
心と体のケア:成功に向けた準備として
このプロセスは、心身ともに大きなエネルギーを要するものです。
多くのご家族が、十分な睡眠、軽い運動、マインドフルネスなどのストレス軽減習慣を取り入れることで、前向きに乗り越えやすくなったと感じています。
また、信頼できる家族や友人、専門家などのサポートを積極的に頼ることも、この旅路を支える大切な要素です。
マッチングの進め方、スケジュール感、法的手続き、医療プロセスについて、ご不明な点があればいつでもご相談ください。
免責事項
本記事は、公開ウェビナーの内容をもとに、情報提供・教育目的で要点をまとめたものです。個別の医学的アドバイスに代わるものではありませんので、具体的な治療や判断については、必ず主治医および医療チームにご相談ください。
ACRC Globalでは、このような心温まるつながりを見届け、サポートできることを誇りに思っています。すべてのマッチングが、安心と信頼のもとで始まるよう、丁寧にサポートを行っています。