世界最長凍結胚からの誕生が示す、現代の生殖医療と卵子ドナーの可能性（By ACRC Global）
2025年7月31日に『ガーディアン』誌で報じられたニュースは、世界中で話題となり、注目を集めました。30年以上前に凍結された胚から、男の子タディアス・ダニエル・ピアースくんが誕生した、というものです。このニュースはこれは単なる科学的な快挙にとどまらず、生殖補助技術（ART）と人々の善意が、これまでにない形で家族づくりの未来を切り拓いていることを示しています。
ACRC Globalでは、このような事例が依頼者に希望を与え、卵子ドナーの貢献の意義を改めて感じさせるものだと考えています。卵子凍結や胚凍結保存の技術の進歩により、今日のドナーの贈り物が、明日だけでなく何十年も先に新しい命を生み出す可能性があるのです。
卵子ドナーになるには？ もっと詳しく知りたくありませんか？
なぜ、このニュースがそれほど驚くべきことなのか、そしてACRCの活動とどのように結びつくのかを見てみましょう。
世界で最も古い凍結胚から誕生した赤ちゃん：記録を塗り替える出産
2025年7月に誕生したタディアスくんは、1994年に体外受精（IVF）で作られた胚から生まれました。この胚は初期の凍結技術で保存され、30年以上もの間、凍結状態で保管されていました。これにより、2020年に27年凍結された胚から誕生したモリー・ギブソンさんの記録を更新しました。
タディアスくんの胚は、もともと希望する家族を支援するための提供バッチの一部でした。その後、オハイオ州のリンジー＆ベンジャミン・ピアース夫妻とマッチングされ、胚の養子縁組というあまり知られていませんが、ますます注目されるであろう家族形成の方法が選択されました。
その結果、クリントン政権時代から時間を止めていた胚から、元気な男の子が誕生したのです。
この誕生は、単なる現代科学の奇跡にとどまらず、未来の家族に希望の光をもたらす存在であり、ひとつのドナーの贈り物が世代を超えて大きな影響をもたらすことを象徴しています。
凍結保存：不可能を可能にする科学
卵子・精子・胚の凍結保存は、この30年間で大きな進化を遂げました。1990年代の「スローフリージング」技術では、デリケートな細胞が損傷を受けることもありました。しかし、現在の「ガラス化（ビトリフィケーション）」技術では、卵子や胚を超低温で瞬時に凍結し、氷の結晶ができるのを防ぐことで、細胞を安全に保存できるようになっています。
この技術により、生殖クリニックは何十年も遺伝子情報を安全に保管でき、受精能力や妊娠成功率が大きく損なわれることはありません。実際、20年以上前に凍結された胚でも、健康な妊娠や出産につながることが研究で確認されており、先天異常や合併症のリスクが増えることもありません。
卵子ドナーにとっても、依頼者にとっても、これにより「時間」が家族をつくる障壁でなくなりました。未来を見据えて、希望するタイミングで家族づくりを進められる新しい可能性が開かれたのです。
今日の卵子提供が、明日—あるいは何十年後の家族をつくる
ACRC Globalでは、卵子提供を「大きな思いやりの行為」としてよく説明します。それは、誰かの人生を変えることができる贈り物です。しかし、Thaddeus（サデウス）のような事例が教えてくれるのは、この贈り物は長年にわたって力を持ち続け、命を育む可能性さえあるということです。
1. 未来へつながる贈り物
卵子を提供すると、その卵子は受精させて胚をつくり、一部はすぐに移植されます。残りの胚は、二人目のお子様やきょうだいを望むとき、または最初の移植がうまくいかなかったときのために、凍結保存される場合もあります。
こうして保存された胚は、何年もの間、時には数十年にわたって専用の保存設備に眠り続けることがあります。しかし、可能性はずっと生き続けています。あなたが今日提供した卵子が、10年後、20年後、あるいは30年後に家族の誕生につながるかもしれないのです。
2. 多様な家族を支える力
現代の生殖医療（ART）の発展により、家族の形はさまざまです。不妊に悩む異性カップル、同性カップル、自らの意思で親になることを選んだシングルの方、治療前に胚を凍結保存したがん経験者など——多くの方が卵子提供を通じて、実子を持つという夢を実現しています。
あなたのご協力によって、来年かもしれませんし、もっと先の未来かもしれませんが、誰かが新しい命を迎えることができるのです。
3. 胚提供という広がり
多くの卵子ドナーは、自分の卵子からつくられた胚がその後どうなったかを知ることはありません。しかし中には、ピアーズ夫妻のケースのように、家族が使わなかった胚を他の人に提供することを選ぶ場合もあります。
こうして受け継がれた胚は、最初の卵子ドナーの思いをさらに広げ、複数の家族や世代にわたって、人生を変えるようなかけがえのないつながりを生み出していくのです。
ACRC Global が卵子ドナーを支え、その思いを未来へつなぐ方法
ACRCでは、卵子ドナーを単なる医療プロセスの参加者とは考えていません。私たちは、卵子ドナーこそが“未来の家族を生み出すヒーロー”だと信じています。だからこそ、私たちはドナーの方々に、安心できるサポート体制、倫理的な取り組み、そして最先端の医療を備えた卵子提供の機会をお届けすることに全力を尽くしています。
個別に寄り添う医療ケア
ACRCは全米トップクラスのIVFクリニックと提携し、卵子ドナーの方に最先端の医療環境を提供しています。厳密な健康診断、ホルモン管理、採卵に至るまで万全のサポートを行い、最新のガラス化保存技術を用いることで、凍結や受精された卵子が健やかな胚へと育つ可能性を最大限に高めています。
透明性と理解を大切に
カウンセリングでは、卵子提供の流れを始めから丁寧にご説明します。凍結保存、胚の作成、将来の利用方法など、起こりうる可能性を含めて分かりやすくお伝えし、あなたの贈り物が、今だけでなく長い未来にどのように役立つかをご理解いただけるようにしています。
心のケアと法的サポート
卵子提供は、大きな意義がある分、感情的に揺れることも少なくありません。そのため、私たちは心理的なカウンセリングに加え、ドナーの権利を守るための法的サポートも提供します。安心して、納得のうえで一歩を踏み出していただけるよう、全面的に支援いたします。
あなたの贈り物は、時を越え、世界へ広がります
生殖医療の未来は、国境を越えて広がっています。ACRC Globalには、アメリカ、アジア、ヨーロッパをはじめ世界各地から依頼者が集まります。適切な規制のもとで、凍結卵子や胚を国際的に輸送することができるため、あなたのご提供が、まだ訪れたことのない国や地域で家族を生み出す力になるかもしれません。
そして、凍結保存技術のおかげで、その力は2025年だけでなく、2055年にも生き続けるのです。
今日採取・凍結されたたったひとつの卵子が、やがては愛される子どもとなり、かけがえのない孫へ、あるいは未来の科学者や芸術家、教師へとつながっていく——その広がりに限りはありません。
希望をつなぐリアルストーリー
サディアス・ダニエル・ピアーズは、ただ記録を塗り替えた赤ちゃんではありません。科学と人の思いやりが交わる場所に生まれた、まさにその証なのです。サディアスのもとになった胚は、彼の両親が出会うよりもずっと前に作られたものでした。しかし、思いやりある胚提供と高度な凍結保存、そしてリンジーさんとベンジャミンさん夫妻の深い愛情によって、いま彼は家族の大切な一員として笑顔を見せています。
1994年の卵子ドナーは、このような未来を想像できたでしょうか。きっとそうではなかったでしょう。けれども、彼女の贈り物と、それを守り抜いた科学がすべてを可能にしたのです。
それが卵子提供の静かな力です。奇跡は時に“少し遅れて”訪れるかもしれません。けれども、その瞬間は、何よりも深い意味を持つのです。
これから卵子提供を考えている方へ
卵子ドナーとしての一歩を考えているあなたに知ってほしいのは、その影響は想像以上に長く続く可能性があるということです。
あなたは単に依頼者が赤ちゃんを持つのを助けるだけではありません。もしかすると、彼らが未来を築く手助けをしているのです。赤ちゃんが誕生するのが9か月後であれ、30年後であれ、あなたの寛大な行動が、家族の物語の礎になるかもしれません。
そしてACRC Globalでは、スクリーニングやマッチング、採卵、フォローアップまで、すべての過程であなたに寄り添います。安心・尊重・感謝の気持ちをもって、あなたの大切な一歩をサポートします。
一生に残る贈り物を届けませんか？
私たちの卵子提供プログラムに参加して、家族づくりの未来に関わりませんか。そこでは、愛だけでなく、時間さえも制限のない可能性が広がっています。
詳しくは acrcglobal.comをご覧いただくか、直接卵子提供チームまでお問い合わせください。あなたが手助けする子どもは、すぐに誕生するかもしれませんし、2055年まで待つことになるかもしれません。それでも、その命の誕生はすべてあなたの贈り物によるものです。
ACRC Global — 国境を越える生殖医療。希望に期限はありません。
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出典：
・The Guardian 「World’s 'oldest baby' born from embryo frozen in 1994
・Learn More About Becoming an Egg Donor at ACRC Global
